特集 遺伝子検査―診断とリスクファクター
5.遺伝子診断を取り巻く最近の動向
7) オーダーメイド医療とファーマコゲノミクス
登 勉
1
,
陣田 さやか
1
Tsutomu NOBORI
1
,
Sayaka JINDA
1
1三重大学大学院医学系研究科臨床検査医学分野
キーワード:
オーダーメイド医療
,
ファーマコゲノミクス
,
CYP
Keyword:
オーダーメイド医療
,
ファーマコゲノミクス
,
CYP
pp.1630-1633
発行日 2007年11月30日
Published Date 2007/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101484
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はじめに
ヒトゲノム計画によりゲノム塩基配列が読了され,ヒトでは塩基配列の99.9%が共通であり,残り0.1%に違いがあることが判明した.ゲノムの違いのうち,医学的に有用性の高いものは一塩基多型(single nucleotide polymorphism;SNP)で,生存に影響の少ないDNAの変異が幾世代にわたって受け継がれ蓄積されたものである.一塩基の違いが,薬に対する反応や疾患感受性に大きくかかわっている.
個人のゲノム情報を活用し,同じ病気であっても薬への反応や副作用軽減を考慮した医療を提供することをオーダーメイド医療と言う.これ以外に個別化医療,テーラーメイド医療,ゲノム医療などと表現されることもある.
ファーマコゲノミクス(ゲノム薬理学)は,薬物応答に関連する遺伝子の変異に関する学問であり,ファーマコジェネティックス(薬理遺伝学)はファーマコゲノミクスの一部であり,薬物の特性,毒性,または有効性と遺伝的要因の関連性,遺伝子多型に関する個人差・民族間差など遺伝子変異が薬物応答に及ぼす影響のことを言う.ファーマコゲノミクスとファーマコジェネティックスを総称してPGxと表現している.ファーマコゲノミクスは米国に続き日本でも注目されており,ファーマコゲノミクスに関する指針も発表されている1,2).
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