今月の表紙 帰ってきた真菌症・9
表在性皮膚真菌症原因菌・1
矢口 貴志
1
,
西村 和子
2
Takashi YAGUCHI
1
,
Kazuko NISHIMURA
2
1千葉大学真菌医学研究センター系統化学分野
2千葉大学
pp.968-970
発行日 2009年9月15日
Published Date 2009/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542102074
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感染が表皮(特に角質層),爪,毛髪,または重層扁平上皮の表層にとどまり,皮下組織や粘膜下組織に侵入しない真菌症を表在性皮膚真菌症という.本症を原因菌別に分類すると,主要なものは皮膚糸状菌症,表在性カンジダ症,皮膚マラセチア症に分類される.その他,稀な疾患として黒癬やAspergillus,Fusarium,Scopulariopsisによる爪,皮膚の感染もある.
皮膚糸状菌症には,白癬,黄癬および渦状癬の3疾患が含まれる.このうち黄癬および渦状癬のわが国での報告例は皆無といってよく,白癬が慣例的に皮膚糸状菌症と同義語的に用いられている.主な原因菌は,Trichophyton(白癬菌),Microsporum(小胞子菌),Epidermophyton(表皮菌)の3属で,大分生子の形態は特徴的で,属,種の同定に基準となっている.
本号,次号(10月号)と2回にわたり表在性皮膚真菌症原因菌を取りあげるが,本号は白癬の原因菌を,次号は白癬菌のうち有性型として判明しているArthroderma属,黒癬の原因菌について解説する.
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