特集 新しい時代の小児感染症
新興・再興感染症
新興・再興感染症とは
氏家 無限
1
UJIIE Mugen
1
1国立国際医療研究センター国際感染症センター/トラベルクリニック/予防接種支援センター/国際感染症危機管理対策推進センター
pp.691-694
発行日 2023年4月1日
Published Date 2023/4/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000878
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新興・再興感染症について
新興・再興感染症(emerging infectious diseases, re-emerging infectious diseases)の用語は,1992年アメリカ合衆国大統領行政府が “感染症への警告” の発表のなかで初めて使用したとされる。現在では世界保健機関(WHO)が1997年に定めた定義が広く使われており,新興感染症とは「かつて知られていなかった,新しく認識された感染症で,局地的あるいは国際的に公衆衛生上問題となる感染症」であり,再興感染症は「かつて存在した感染症で,公衆衛生上ほとんど問題にならないようになっていたが,近年ふたたび増加してきたもの,あるいは将来的に再び問題となる可能性がある感染症」とされている。具体例としては,前者には新型コロナウイルス感染症,鳥インフルエンザ,エボラ出血熱などが挙げられ,後者ではマラリア,結核,デング熱などが挙げられる1)。
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