今月の主題 食中毒
話題
電子線滅菌
田村 直幸
1
Naoyuki TAMURA
1
1NPO法人放射線教育フォーラム
pp.727-730
発行日 2009年6月15日
Published Date 2009/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542102004
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1.はじめに
放射線による殺菌は,放射線の電離作用によって微生物のDNA鎖を直接切断する直接作用か,周囲の水分子に発生した活性の高いOHラジカルによってDNAに損傷を与える間接作用によって起こるとされている.
現在医療機器の滅菌に使用できる放射線としては,ガンマ線,電子線,制動X線があるが,実用的には60Co線源からのガンマ線と電子加速器からの電子線が利用されている.制動X線は電子加速器からの電子線を原子番号の大きい金属に照射して生成されるが,変換効率が低いことなどもあって国内では実用的には試験段階にある.
ガンマ線,電子線による滅菌施設は試料のどこにでも放射線が確実に透過して殺菌するなど多くの利点があることから,建設費が高いのにもかかわらず現在まで多くの施設が国内各所に設置され,従来の酸化エチレンガス(EOG)滅菌,高圧蒸気滅菌に対して,滅菌バリデーションが容易という特長のある滅菌法としてその地位を占めるようになった.放射線滅菌の中でも,電子線滅菌は,5~10MeV高エネルギー大電流の加速器の出現などもあって滅菌法の地位を確立しつつある.
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