今月の主題 免疫不全症候群と遺伝子異常
各疾患の遺伝子異常,診断と治療
Wiskott-Aldrich症候群
川村 信明
1
Nobuaki KAWAMURA
1
1北海道大学大学院医学研究科生殖発達医学講座小児科学分野
キーワード:
X連鎖血小板減少症(XLT)
,
X連鎖好中球減少症(XLN)
,
アクチン重合
Keyword:
X連鎖血小板減少症(XLT)
,
X連鎖好中球減少症(XLN)
,
アクチン重合
pp.581-586
発行日 2009年5月15日
Published Date 2009/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101977
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Wiskott-Aldrich症候群(WAS)は湿疹・血小板減少・易感染性を3主徴とし,自己免疫・悪性疾患を高率に合併するX連鎖遺伝形式の疾患である.1994年に原因遺伝子(WASP)が同定され,その後X連鎖血小板減少症(XLT)やX連鎖好中球減少症(XLN)でもWASP遺伝子変異が確認された.WASPはアクチン細胞骨格調節に重要な蛋白であり,その機能障害ではWAS/XLTの臨床像を呈し,その過剰発現ではXLNを呈する.WASP発現細胞を認め臨床的に軽症化している体細胞モザイク症例も存在し,遺伝子変異の反転が確認されている.根治療法として,造血幹細胞移植以外にも遺伝子治療研究が進められている.
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