特集 受精メカニズム新論争〜ドグマの再構築〜
受精における精子ミトコンドリアの運命と母性遺伝
佐藤 健
1
,
佐藤 美由紀
1群馬大学生体調節研究所 細胞構造分野
キーワード:
自食作用
,
ミトコンドリアDNA
,
受精
,
精子
,
ミトコンドリア
,
Caenorhabditis elegans
,
Ubiquitin
,
Proteasome Endopeptidase Complex
,
ミトコンドリア遺伝子
,
ヘテロプラスミー
,
ホモプラスミー
Keyword:
Autophagy
,
Fertilization
,
DNA, Mitochondrial
,
Mitochondria
,
Spermatozoa
,
Caenorhabditis elegans
,
Ubiquitin
,
Proteasome Endopeptidase Complex
,
Genes, Mitochondrial
pp.414-419
発行日 2014年3月22日
Published Date 2014/3/22
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ミトコンドリアは,原始の真核細胞に好気性細菌が共生することによって形成されたと考えられており,核ゲノムとは別に独自のゲノムであるミトコンドリアDNA(mtDNA)を持っている.興味深いことに,多くの有性生物においてmtDNAが母方(片親)からのみ子孫に受け継がれることが古くから知られており,この現象は“母性(片親)遺伝”と呼ばれている.しかし,受精の際には卵子と精子の両者にミトコンドリアが存在するにもかかわらず,なぜ受精後に卵子由来の母性mtDNAのみが子孫に継承されるのかについては長らく謎であった.近年,父性ミトコンドリアやそのmtDNAがオートファジーやユビキチン・プロテアソーム系,あるいは特異的ヌクレアーゼなどの分解機構によって分解・除去されることがmtDNAの母性遺伝の鍵であることが明らかとなってきた.本稿では,父性ミトコンドリアやそのmtDNAの分解による母性遺伝の分子メカニズムについて主に動物における最新の知見を紹介する.
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