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今年は春一番が吹かぬまま春分の日を迎えることになりましたが,そうは言っても,これからは昼間のほうが夜よりも長くなり,空の青さも何となくぼんやりとした春色に変わっていきそうな気配です.この季節,日本のあちこちで卒園式,卒業式が行われ,続いて入園式,入学式,入社式が待っています.年度の変わり目は沢山の別れと出会いがありますが,視点を変えれば,私たちにとって新しい希望と発展の季節でもあります.読者の皆さまもまた,職場を変わられる方,役職の変わられる方,あるいは退職される方など,様々なお立場で年度の変わり目を迎えていらっしゃることと存じます.雑誌「臨床検査」におきましても,本号から新しい連載企画が始まるなど,少しずつではありますが,成長を続けており,私ども編集委員一同も,また新たな希望と期待を胸に,年度の変わり目を迎えているところであります.
本号の主題には「成長と臨床検査値」(企画:戸谷誠之先生)を取り上げました.成長・発達の過程にある小児においては,月齢・年齢によって様々な臨床検査の正常値が変化することは,読者の皆さまであればよくご存知のことだと思います.そのため,多くのご施設では,臨床検査の報告に成人の正常値に関する記載は添えられていても,小児の正常値に関する記載はない場合がほとんどだと思います.臨床検査値のみならず,心拍数,呼吸数,血圧といった各種計測値についても月齢・年齢によって正常範囲は異なっておりますし,それ以外にも運動機能,言語機能など,小児の診療においては,成長・発達に関する要素を常に考慮しながら対応することが必要となります.本号では,臨床検査値の中でも,月齢・年齢による変化が特に大きいと考えられる,血圧,内分泌検査,末梢血検査,ビリルビン値やクレアチニン値などの生化学検査を取り上げ,成長の要素を考慮した臨床検査値の評価について,それぞれ専門家の先生方に解説していただきました.また本号をご企画いただいた戸谷先生のご司会のもと,北九州八幡東病院の白幡聡先生と新潟大学医歯学総合病院の内山聖先生にご登場願い,「成長期医療の変遷と臨床検査の対応」というテーマで,成長期にある小児医療の変遷とそれに対する臨床検査はどうあるべきか,臨床検査の果たす役割と意義は何か,という点について鼎談していただき,ご意見を伺いました.
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