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国によるサーベイランス開始以降最も早いインフルエンザの流行が全国的に始まっています.流行の中心はソ連型のA型インフルエンザウイルス(A/H1N1)で,最近ではあまり流行がみられなかったウイルスです.免疫のない小児を中心に流行が進んでいるようですが,これを受けて,職員のインフルエンザワクチン接種の時期を早めた医療機関は多かったことと思います.今後成人や高齢者の方に流行がさらに広まるかどうかは,もう少し様子をみないとわかりませんが,できるだけ早めに予防接種を受けることをお勧めしたいと存じます.ちなみにわが国の2007/2008シーズンインフルエンザワクチンについては,A香港型とB型のワクチン株は2006/2007シーズンと同じ株ですが,Aソ連型に関しては2006/2007シーズンのA/New Caledonia(ニューカレドニア)/20/99(H1N1)株からA/Solomon Islands(ソロモン諸島)/3/2006(H1N1)株に変更されております.ワクチン株の変更が今シーズンのインフルエンザ流行に対して有効であることを期待したいと思います.
52巻新年号の主題は「インフルエンザ診療におけるブレークスルー」です.まさに現在流行中のインフルエンザに関する話題を,様々な観点から取り上げてみました.インフルエンザの診療においては,診断面では迅速診断法の普及が,治療面ではオセルタミビル,ザナミビルなどのノイラミニダーゼ阻害薬の開発と臨床適用が,それぞれ大きなブレークスルーとなりましたが,一方では,診断上の偽陰性の問題,耐性ウイルスの出現や異常行動という予期せぬ現象の出現などが認められ,今後検討されなければならない問題点として指摘されています.また近い将来の出現が予想される新型インフルエンザに対しては,ノイラミニダーゼ阻害薬による治療・予防,新型インフルエンザに対するワクチン開発が,新たな治療・予防手段として提示されています.毎年のインフルエンザ流行に関しては,毎年のインフルエンザワクチン接種が予防の中心となりますが,このワクチンに関しても,より有効性の高いワクチンの開発が求められています.
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