特集 臨床検査のための情報処理技術の進歩
6章 画像情報・波形情報の解析法
3. 多チャンネル光イメージング法の臨床応用
田村 守
1
Mamoru TAMURA
1
1北海道大学電子科学研究所超分子分光研究分野(理学研究課化学専攻)
キーワード:
脳機能イメージング
,
光トポグラフィー
,
光イメージング
,
時間分解計測
,
多重散乱
Keyword:
脳機能イメージング
,
光トポグラフィー
,
光イメージング
,
時間分解計測
,
多重散乱
pp.1547-1555
発行日 2005年11月30日
Published Date 2005/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542100338
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はじめに
近年,人脳機能計測に“光トポグラフィー”の言葉がしばしば聞かれる.タイトルをあえて“光イメージング”にしたのはいくつかの理由がある.1つは“光トポグラフィー”が長い間学術用語としてではなく,一企業の商品名として使われたことと,その意味する画像に関して多くの問題があり,特に臨床上,何らかの“診断法”として用いるにはいまだ時期尚早との考えを筆者が抱いていることによる.もちろん基本的な本計測法の持つ高いポテンシャルは自明である.ここでは本計測法の持つ問題点を説明しながら,最終目標である“光トモグラフィー”の第1歩を紹介したい.
なお,ここでの主題である,光による脳機能計測の基本原理は,“脳神経系が賦活されるとその局所血流が増加する”に基づく.この血流増加による酸素化,脱酸素化,および全ヘモグロビン量の変動を,光(近赤外光)で追いかけるのが光イメージングである.したがって人の頭部における光の吸収測定が基本である.ここでは,この原理に基づいた近赤外光による人の脳機能計測を,一般にFunctional Near-infrared Spectroscopy(fNIRS)と呼ぶ1~6).
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