今月の主題 脳脊髄液
話題
家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)と髄液
安東 由喜雄
1
,
中村 政明
2
Yukio ANDO
1
,
Masaaki NAKAMURA
2
1熊本大学大学院医学薬学研究部病態情報解析学
2国立水俣病総合研究センター臨床部
キーワード:
トランスサイレチン
,
髄液
,
家族性アミロイドポリニューロパチー
Keyword:
トランスサイレチン
,
髄液
,
家族性アミロイドポリニューロパチー
pp.415-418
発行日 2005年4月15日
Published Date 2005/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542100131
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1.はじめに
トランスサイレチン(TTR)は,127個のアミノ酸からなる分子量13,761Daの蛋白で,4量体として血中に存在し,1分子に8個のβシート構造を有する(図1)1).血中でレチノール結合蛋白(retinol binding protein;RBP),サイロキシン(T4)に結合し,それらを輸送する機能をもつ.TTRの血中濃度は20~30mg/dlであり,肝臓で90%以上産生されるが,そのほか,網膜の網膜色素上皮細胞,脳室脈絡叢,膵臓などにおいても産生されることが知られている2,3).血中では反急性期反応蛋白として機能し,炎症,妊娠,腫瘍,低栄養などで血中レベルが低下することから,近年,在院日数の短縮などで重要視されているnutrition supporting team(NST)で指標として活用される重要な蛋白の1つとなっている4,5).
髄液においてはTTRは2番目に濃度の高い蛋白であり,その役割が様々な疾患で重要視されている.本稿では,FAPの臨床を通してTTRの髄液での機能と重要性について言及する.
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