シリーズ最新医学講座・Ⅱ 耐性菌の基礎と臨床・3
主として院内感染で問題となる耐性菌・2
緑膿菌(基礎編)―その耐性機構からMDRPに対する抗菌薬療法まで
舘田 一博
1
Kazuhiro TATEDA
1
1東邦大学医学部微生物・感染症学講座
キーワード:
緑膿菌
,
ブレイクポイント
,
併用療法
Keyword:
緑膿菌
,
ブレイクポイント
,
併用療法
pp.464-467
発行日 2006年4月15日
Published Date 2006/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542100078
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
緑膿菌は,ブドウ糖非醗酵のグラム陰性桿菌であり,ヒトに対しては主に日和見感染症としてその病原性を発揮する.本菌はもともと広く抗菌薬に対して耐性を示すことから,その抗菌薬療法はしばしば困難となる.重症の緑膿菌感染症に対してはカルバペネム薬,第三・第四世代セフェム系薬,ニューキノロン薬,アミノグリコシド薬,およびこれらの併用療法が行われてきた.ところが最近になって,これら抗菌薬すべてに耐性を示す,いわゆる多剤耐性緑膿菌(multiple drug resistant P. aeruginosa;MDRP)が出現し問題となっている.2004~2005年にかけて大学病院で続けざまにMDRP感染症のアウトブレイクが報告されたことは記憶に新しい.ここでは話題の耐性菌として緑膿菌を取り上げ,その抗菌薬耐性機構について解説するとともに,本菌に対する効果的な抗菌薬療法について概説する.
緑膿菌の抗菌薬耐性機構
Copyright © 2006, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.