特集 ゲノム時代と病院
ゲノム時代の医療とは
小澤 敬也
1
1自治医科大学分子病態治療研究センター遺伝子治療研究部
pp.1022-1026
発行日 2001年12月1日
Published Date 2001/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541903426
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20世紀の終わりにヒトゲノムプロジェクトが急速に進み,ヒトゲノムのほぼ全塩基配列が当初の予想よりかなり早く解明された1,2).ヒトゲノムとは,ヒトという個体を規定する遺伝情報の総体を意味するものである.4種類の塩基によって書かれたヒトの設計図を手に入れたことは,人類の月面着陸にも匹敵する偉業として讃えられたことは記憶に新しい.ただし,その設計図の読み方や利用の仕方に関する研究はまさにこれからである.ゲノムの全塩基配列解明は終着点ではなく,ゲノム医療の本格的スタートを意味しており,これからは「ポストゲノムシークエンス時代」といわれている.
ゲノム医療は,1)病態解明(遺伝子解析),2)遺伝子診断・治療(分子標的治療と遺伝子治療)に大きく分けることができるが,いずれの分野もこれから一段と発展していくものと思われる.分子病態解明では,DNAチップに代表されるゲノム機能解析技術が急速に進歩しており,遺伝子発現パターンの包括的・網羅的解析が行われている.
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