医療技術革新の展望とこれからの医療政策—ヒト遺伝子研究の意味するもの
遺伝子技術をめぐる生命倫理と疾病—障害概念の変容
広井 良典
1
1社会保険大学校
pp.974-978
発行日 1995年10月1日
Published Date 1995/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541901631
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政策としての生命倫理(承前)
前回,遺伝子技術をめぐる生命倫理問題に関して,ヒトゲノム・プロジェクトにおけるELSI (ethical,legal and social issues)プログラムの状況や,アメリカの連邦議会等の各種報告書において指摘されている遺伝子技術の生命倫理をめぐる論点について概観した.これらを踏まえて筆者なりに改めて整理すると,ヒトゲノム・プロジェクトに象徴されるような遺伝子技術をめぐる生命倫理問題は,おおむね次のようにまとめられるように思われる.
(A)遺伝子診断(ないし検査)をめぐる問題(出生前診断や,ハンチントン舞踊病やCF〔嚢胞性繊維症〕などの遺伝病をはじめとする各種疾病の遺伝子レベルでの診断をめぐる問題.すなわち実施の在り方,本人等への告知,カウンセリングなどのサポート体制等)
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