特集 病院の危機管理
危機管理から安全管理へ
寺崎 仁
1
1日本大学医学部医療管理学教室
pp.132-136
発行日 2000年2月1日
Published Date 2000/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541902919
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昨年1月の横浜市立大学医学部附属病院での患者取り違え事件を契機として,わが国でも医療事故防止のための具体的な方策が真剣に議論されるようになってきた.しかし,その後も医療事故の報道は減るどころか,かえって多くなる傾向にあり,ごく最近も国立循環器病センターでの小児の心臓手術における医療ミスによる死亡が伝えられた.新聞を開けば必ずどこかに医療事故に関する記事があるといっても過言ではないほどに,医療に関する多くの事故や事件が報道されているが,これは医療ミスが増加したためというよりは,国民一般の医療の安全についての関心の高まりを示したものであろう.
一連の医療事故報道を機に,改めて「医療の安全」を論じてみようと思うが,最近これらのことがらに関する報告書や書籍が数多く出版されている.特に,患者の取り違え事件後には,医師会や看護協会などの多くの医療関係団体から,各種の報告書や参考資料が出版されており1,2),それらは具体的かつ実践的な内容のものが多く,医療の現場では非常に参考になる資料である.
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