メディカルエッセー 『航跡』・39
病院の安全危機管理(3)—コードブルー
木村 健
1
1アイオワ大学医学部外科
pp.244-245
発行日 2000年2月20日
Published Date 2000/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407904038
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入院中の患者が,突然心肺機能に異常をきたして生命の危機に瀕することは珍しくない.事態発生後,心肺蘇生が適切かつすみやかに施行されれば,患者は一命をとりとめることが出来る.合同委員会は,入院中の患者の生命が運・不運によって左右されることのないよう万全の手だてを尽くすべしと規定している.
病院を舞台にしたアメリカ映画やテレビドラマで,「コードブルー」という院内放送が流されるとインターンやナースたちが一斉に駆け出すシーンを目にされたことがあろう.病院によっては,「コードブルー」の代わりに「コード99」というコード(暗号名)を使うところもある.いずれも,「心肺停止をきたした患者が発生した」という暗号である.不特定多数の人々が出入りしている院内で,「○○病棟で心肺停止をきたした患者が発生しました」と直接的な表現で放送されると,患者にもビジターにも良い印象は与えない.そこで考え出されたのが,「コードブルー」という暗号である.米国ではすでに一般化しているので,知る人ぞ知るであるが,それでも「心肺停止」より聞こえがよい.「コードブルー」の発信者は事態発生に最初に直面したスタッフ.アイオワ大学病院では院内のそこここにある電話の911番をダイヤルすると,「コードブルー」の発信システムにつながる仕組みになっている.
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