特集 現代の危機管理
医療における危機管理体制
小池 麒一郎
1
,
伊藤 昌弘
2
,
藤巻 和広
3
1日本医師会
2日本医師会地域医療第1課
3日本医師会地域医療第3課
pp.886-890
発行日 1997年12月15日
Published Date 1997/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901799
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危機管理とは,発生した危機的状況に,直ちに対応できるよう,あらかじめ安全を確保するための措置をしておき,発生した危機の影響を最小限に抑えることである.わが国で発生した自然災害および交通事故や感染症を含む人為的災害はそれぞれ表1ならびに表2に示すとおりであり,決して稀ではない.災害時においては,医師会救助活動が常に求められるが,災害対策基本法の第1章総則のなかでも,医師会が民法第34条の規定に基づく公益社団法人であり,実際に医師会の救助活動が必要であるところから,知事の判断により,災害救済上の指定地方公共機関として認められるとされている(昭和44年10月6日,消防法第385号行政実例).すなわち,災害時の医師会の救護活動は指定地方公共機関として,法の中に包含されている.偶発する危機状況は発生原因,規模,被害の多寡など,多様であるが,そのいずれの事態に際しても危機管理の基本的理念は等しく国民の生存を守ることにあり,個人の自助努力が及ばない領域では国と社会が対処,克服することが求められる.
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