特集 すぐそこまで来た,医師の働き方改革—課題と実現可能性
総論 医師の働き方改革
医師の働き方改革は何をもたらすか
桐野 高明
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1地方独立行政法人佐賀県医療センター好生館
キーワード:
働き方改革
,
労働時間の上限規制
,
宿日直許可
,
タスク・シフト/シェア
,
女性医師
Keyword:
働き方改革
,
労働時間の上限規制
,
宿日直許可
,
タスク・シフト/シェア
,
女性医師
pp.112-115
発行日 2022年2月1日
Published Date 2022/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541211613
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働き方改革は,少子高齢化の時代にあって,社会の活力を維持するために国全体の課題として進められるもので,必ずしも一定の職種に限定するものではない.しかし,医師には医師法19条に規定する「応召義務」があり,他の職種と同様に論じると,現場の医療に支障を来す恐れがあった.このために,医師の働き方改革は別途の審議に委ねられることになり,その結果,医師労働時間の上限規制などの政策が2024年から開始されることになったことは,周知のとおりである.この働き方改革では,医師の労働時間の総計を一定時間に制限することがその主要なポイントではあるが,一方で医師の健康管理改革であるとの観点が重要である.単に規定の労働時間を超えた分の給与を支払えというだけの問題ではない.医師の健康やワーク・ライフ・バランスの確保は,医師個人の問題にとどまらず,医療の質の維持や医療の安全の向上のためにも重要である.
今回の医師の働き方改革による労働時間の上限は,今後2035年に向かって徐々に削減され,最終的にはごく例外的な場合を除いて,全ての医師の時間外労働時間は年間960時間を上限として制限することが目指される.この上限自体が,一般の労働者の過労死基準の上限にほぼ等しく,この上限を順守することは,医師が人間的な生き方をしていく上では,今後当然のことと考えられるようになるだろう.
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