特集 すぐそこまで来た,医師の働き方改革—課題と実現可能性
総論 医師の働き方改革
病院はいかに医師の働き方改革に向き合うか
裵 英洙
1,2
1ハイズ株式会社
2慶應義塾大学
キーワード:
労働実態の把握
,
宿日直
,
院内自己研鑽ガイドライン
,
組織改革
Keyword:
労働実態の把握
,
宿日直
,
院内自己研鑽ガイドライン
,
組織改革
pp.116-119
発行日 2022年2月1日
Published Date 2022/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541211614
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■はじめに:なぜ医師の働き方改革が必要か
空前のスピードで迫りくる超高齢社会・多死社会に対応しなければならない医療界.また,新型コロナウイルス,地域医療構想,医師偏在問題など,外部環境の大きな変化も進みつつある.そのような中で,ますます加速する多様かつ多量な医療・介護ニーズに応えなければならない過酷な医療現場では,より高い生産性を追求する“働き方”が今まで以上に重要視されてきている.また,医療機関は女性職員が多い職場であり,看護師だけでなく,女性医師の割合もますます増加している.今や,全医師数に占める女性医師の割合は約22%であり,すでに5人に1人を越えた.また,さらに,29歳以下に限定すれば女性医師の割合は35.9%であり,ますます女性医師は増えていく流れである1).さらなる女性活躍,男性の育児・介護などへの参画を視野に入れた職場環境の整備は時代の要請とも言えるだろう.
これらの時代の変化を踏まえ,医師の働き方改革が2024年4月から本格的にスタートする.医師の時間外労働時間の上限規制が大きなトピックであり,ようやく,働きすぎといわれて久しい医師の世界に法的拘束力を持った大きなメスが入る.ただ,実際に医療機関内で働き方改革を進める際に,「効率的な進め方が分からない」「すべきことが多すぎて何から手を付けるべきか分からない」「大きな問題すぎて対処できない」などの経営・マネジメント側の困惑の声も少なくない.
本稿では,これらの声を踏まえて病院が働き方改革とどう向き合うか,働き方改革のポイント,効率的な改革の進め方などについて述べたい.
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