発行日 1949年9月1日
Published Date 1949/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541210262
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「病院のめしは食べられないもの」ということが,世間一般の通り言葉になっているように,食養生の上から患者並に家族には並並ならぬ迷惑をかけていることは,誠に遺憾に堪えない。病院側もこれを決していいこととは思つていないが,どうにも仕方がない位にしか考えていないのは,治療上重大な責任問題と言はねばならない。
このことは最近の物價高や品不足に基固して起つたことでないことからみても,病院当局は,これに対しては既に慢性になりきつて,特別の考慮が拂はれていないのではなかろうか,或は病院の最高責任者である院長は,医師として,治療上の一切は可及的科学的に,而しその最高水準を目ざして懸命の努力を拂いつつあるも,ひとり食事に關しては,兎角通俗めいているために,科学者の惑心外にあるが如くに,誤解せるためではなかろうか。孰れにしても病院食があれ程悪評を受け,日日疾病治療上大いなる手ぬかりをなしつつあることに気がつかず,その改善に特別の努力を示さないことは,特に反省を要する点である.
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