——
東京遞信病院高等看護學院の設計の苦心
小坂 秀雄
1
1郵政省建築部設計課
pp.55-56
発行日 1951年8月15日
Published Date 1951/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906914
- 有料閲覧
- 文献概要
看護學校の例は歐米諸國には相當優れた實例が數々あるが,我國に於ては參考とするようなものはあまり多くはない。聖路加病院附屬のものは仲々整つているようであるが,現在接收されているので,主として聖母病院附屬の看護學校を參考とし,又東京遞信病院の養成課の方々の專門的な御意見や御希望に從つて設計した。建物は校舍一棟と寄宿舍二棟から成つて居り,敷地地盤が前面道路から相當高くなつているので,校舍玄關だけは鐵筋コンクリート造の地下室となつていて直接道路から入れるように考慮した。校舍には3つの一般教室(その中一つは化學教室にもなる)の他,看護實習室,調理實習室,化學實驗室,講堂,圖書室,其他の必要な諸室が設けら,れ總て南に面して通風採光を完全ならしめた。
廊下の窓は高窓として學生が外部にあまり氣の散らないよう考慮した。看護實習室はこの建物の中で最も重要な部屋で設計には充分の研究が必要である。この室は南北兩側に窓がありベツドを窓側に配列出來て都合よく,ベッドとベッドの間,隔通路の幅等最も使い良い寸法とした。ここには階段式に机が造り付けになつていて學生がここから實習の有樣を見たりノートしたり出來るようになつている。この實習室に必要な處理室,浴室,調理室,便所等夫々適切に配置することが出來た。調理實習室には2ステンレス張りの4臺の實習臺の他,食器戸棚,流し其他の必要な設備が用意されてある。
Copyright © 1951, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.