発行日 1949年9月1日
Published Date 1949/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541210263
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遊覧バス
アスファルトのたんたんとした道を,空色鮮かな遊覽バスは快く走る。楓の街路樹は緑がはえる。四階,五階と揃つた町並は,様々な壁の色の工夫で互にその美しさを競っている。バスガールは名調子で語る。
「これから御案内致しますのは中央病院でござゐます。中央病院は縣会議事堂,教育会館,物産館,綜合運動場と竝んで,わたしたちの最誇りといたすものであります。中央病院は当N地方五縣のセンター・ホスピタルでござゐます。当地方300万住民中の不幸な病める人達のメッカであります。又いつ病むとも限らないわたし達の,病へのとりで,ともいってよいでありませう。今から5年前にABCD5縣の連合保健医療協議会が開催されましたとき,当N市に中央病院の設置が決議せられました,その後5縣の医療委員会の活動と国家の援助によりまして,2年前に完成されましたものであります。敷地面積一万余坪,鉄筋コンクリート五階建,総坪数約一万坪,病床5百をようしてゐます。御承知のように,有名な腦神経科のB博士のように,各科にはそれぞれその道の專門家がゐられて,不幸な病人を救っていることは,申すまでもありません」
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