連載 私と読書
—蘭学事始・を読んで—先人の苦心、遺したものを大切に
鈴木 悦子
1
1国立仙台病院
pp.670
発行日 1975年12月25日
Published Date 1975/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204969
- 有料閲覧
- 文献概要
最近看護の古書ともいえるような本が複刻され,人々の心に新たな共鳴を呼んでいるようである。かつて,その礎を築くには,それ相応の努力や苦心があって,今日の発展を見るものであると考える。
蘭学事始は,今より160年前,西洋医学の祖として高名な杉田玄白が,80歳余りになり回想録として書きしたためられた。後,大槻玄沢へ渡され,子々孫々まで見せてほしいと書き記されている。上下2巻よりなる小冊子で,玄沢が多分に手を入れたこと,また,内容すべてが真実でないことなど,本書の研究により明らかにされている。
Copyright © 1975, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.