医療従事者のための患者学
"病気"を意識する(その2)
木村 登紀子
1
Tokiko KIMURA
1
1聖路加看護大学・心理学
pp.1064-1067
発行日 1988年12月1日
Published Date 1988/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541209449
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
前号では,病気や怪我とは無縁の生活を送っていた人が,体に不調を感じ,病院の診療室を訪れるまでの段階を5つに分け,"病気"を意識する第1段階,受診を決心する第2段階,そして受診を実行に移す第3段階までについて,患者の心理的な動きを具体的に検討してみた.
本号では,それに引き続き「病院に着いて受付を終える」第4段階と,「待合室で診察の順番を待つ」第5段階について,患者の"こころ"の動きを考察することにしよう.更に,このシリーズの2回目(3月号)と3回目(4月号)に述べた哲学的意味での人間存在の特質や東洋的な人間観と照らし合わせながら,患者の置かれている立場を吟味することを通して,診察室に現れるまでに既に独特の患者心理が形成されていることを浮き彫りにする.そして,このような患者に対して,この段階までの間にどのような対応が必要かを論じてみたい.
Copyright © 1988, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.