日本の病院建築の七不思議・7(最終回)
不完全な病院の設計条件
柳澤 忠
1,2
Makoto YANAGISAWA
1,2
1第17回日本病院設備学会
2名古屋大学工学部
pp.1068-1069
発行日 1988年12月1日
Published Date 1988/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541209450
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前回,病院建築を設計するのに病床回転率のような重要問題が設計条件として示されないのはおかしいと書いた.今回はこのシリーズの最後として設計条件を取り上げたい.どういう条件があれば設計が始められるかということである.建築家の提案を期待すべきことと,病院側で決めておいてそれを前提に建築家に設計してもらうべきことが,しばしば混同されていると思うからである.
ところで,最近の病院は余りにも複雑である.先端医療技術あり,経営問題あり,物品・情報の管理問題ありで,全体像がつかみにくい.そうした中で設計に必要な条件を病院側で総てまとめるのは難しい.アメリカであれば病院コンサルタントが病院側と建築の間の橋渡しをしてくれる.日本でもこの数年,病院コンサルタントと自称する人が増えているが,まだ十分な人材が育っていない.従って病院の設計条件は,病院側と建築家側とで協力して組み立てるしか方法がないのかも知れない.その辺の事情を分析してみたい.
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