病院職員のための医学知識
老年学とは
村井 淳志
1
,
亀山 正邦
2
1京都大学老年科
2京都大学神経内科
pp.970-971
発行日 1982年11月1日
Published Date 1982/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541207882
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老年学とは,いつごろから始まったどういう学問ですか.現在どういう分野の人がどのような研究をしていますか.
生物はなぜ,どのように年をとり老化するのか,年をとると精神と身体はどのように変化するのか,社会は老人をどのように処遇したらよいのか,など老人に関するあらゆる事柄を扱う学問が老年学です.19世紀の後半自然科学が著しく進歩するとともに,老化の科学的研究が始まりました.20世紀に入ると欧米では老人の人口が非常に増え,老人問題が社会問題になりました.このような社会的要請を反映して老年学が急速に発展し,老年学の専門誌が1939年ドイツにおいて始めて発刊されるに至りました.米国ではそれより少し遅れて,1946年に専門の機関誌が発刊されました.
日本において社会福祉法人浴風会が設立され,老年の医学的及び心理学的研究が系統的に開始されたのは1926年のことです.しかし当時老年学を専攻する者は少なく,先駆的な仕事が社会的に注目されることもないままに,積み重ねられておりました.
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