特集 痴呆性老人の地域ケア
老年期痴呆の診断と予防
重松 一生
1
,
宇高 不可思
2
,
亀山 正邦
2
Kazuo SHIGEMATSU
1
,
Fukashi UDAKA
2
,
Masakuni KAMEYAMA
2
1京都大学神経内科
2住友病院神経内科
pp.375-378
発行日 1990年6月15日
Published Date 1990/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900108
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■はじめに
痴呆(dementia)とは,「一度はある段階にまで発達した知能が,何らかの原因によって低下し,そのために,職業の遂行や日常生活が困難になった状態」と定義される.すなわち,痴呆とは一つの病気を示す診断名ではなくて,様々の原因で生じる症候群である.重要な点は,痴呆の中には適切な治療あるいは予防が可能な疾患が含まれるということである.また正常の老化から,老人のぼけ(senility),そして痴呆にいたる境界も必ずしも明確でない.痴呆患者が発病してから医療機関を訪れるまでに平均3.5年かかるといわれている1).したがって,早期に診断し,悪化の予防あるいは適切な治療を行うことが必要である.本稿では,1)痴呆の診断基準,2)原因疾患の診断,3)予防,について述べる.
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