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特集 第6回脳のシンポジウム
主題—ウイルス感染と神経系(いわゆるslow virus infectionの考え方)
対照例の立場から—老年者脊髄後索および後根の病変について
Pathology of the Spinal Dorsal Tract and Dorsal Roots of the Aged
亀山 正邦
1,2
Masakuni Kameyama
1,2
1浴風会病院
2東京大学
1Yokufukai Geriatric Hospital
2Tokyo University
pp.544-546
発行日 1971年7月15日
Published Date 1971/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903273
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老年者の脊髄後索に脱髄がしばしばみられることは古くから指摘され,これを加齢現象の一つとみなす意見もある1)。しかし,後索のみならず,後根にも変性所見は,まれではない。臨床的には,下肢深部反射の低下ないし消失,しびれ感,振動覚の低下,Romberg徴候陽性など,その症状は,いわゆるSMONに酷似する面もある。成因的には,栄養障害,代謝障害などが考えられてはいるが,本質的には,全く不明である。SMONの病理学的所見と,老人性変化との類似は,白木ら2)によつて,繰り返し強調されている。したがつて,一般老年者剖検例における,脊髄所見の解明は,SMONの病態,病因を明らかにする上にもきわめて重要であると考えられる。この論文の目的は,つぎの2点を,臨床的および病理学的に解析することにある。
1)一般老年者剖検例における,脊髄後索および後根の変性所見の頻度。
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