バイオエシックスと医療
11.病院での患者教育
木村 利人
1
1ジョージタウン大学
pp.968-969
発行日 1982年11月1日
Published Date 1982/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541207881
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今月と来月の2回にわたり,主に「バイオエシックスと教育」の問題について考えてみます.
言うまでもなく「医療」は専門知識と経験を持った医師・看護婦をはじめとする多くの人々と,患者自身をも含めたチームワークです.しかし一方では,「患者の権利」とか「同意」とか医療従事者と患者の「コミュニケーション」とかは,医療にとって本質的なことではないし,「要は病気を治すことだ.早く病気が治りたいなら贅沢を言ってはならない.」と考える医療従事者たちもかなり多かったのも事実です.しかし事態は大きく変化してしまいました.人間としての尊厳を認め人格を尊重することは,実は医療にとって最も重要な根本原理の一つであるということが当然だからです.その意味では「患者の権利」は全く新しく作り出されたのではなく,今まで医療のメカニズムの中であまりにも人権が無視されていたのが間違っていたのだ,とも言えるのです.
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