2色ページ 老年病学・2
老年病の特徴とは何か
亀山 正邦
1,2
1東京都養育院付属病院
2東京大学医学部
pp.212-215
発行日 1973年2月1日
Published Date 1973/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916574
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老年者の死因
厚生省の死亡統計によれば,わが国の死因の第1位は脳卒中であり,全死亡の24.7%を占めている.第2位は癌(15.2%)第3位は心臓の疾患10.8%,第4位は老衰7.0%,第5位は不慮の事故で5.7%である.これを年齢別にみると,60歳から79歳までは,第1位脳卒中,第2位,第3位は,心臓の疾患または癌が分け合っている.80歳以上になると,死因の第1位は老衰である(1965年).
表1は,浴風会病院における60歳以上の老年者剖検例の死因調査である.表中,単一死因例とは,単一疾病が主要死因と考えられた例であり,複合死因例とは,2種以上の疾病が同時に直接死因と考えられた例である.単一死因例は男64%,女80%にみられている.直接死因としてもっとも多いのは肺炎を主とする呼吸器疾患で,全体の41%を占めている.神経および感覚器系疾患とは,脳血管障害例を主とするもので,全体の20.2%を占めている.循環器系疾患は19.7%である.伝染病および寄生虫病として19.1%があげられているが,その大部分は,感染病であり,なかでも褥創感染が多い.消化器系疾患は14.6%,新生物は7.6%,性および泌尿器系疾患は2.8%である.しかし,これらの直接死因の多くは,いわゆる末期疾患(terminal illness)ともいわれるべきもので,多くは,その誘因疾患をもっている.
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