海外の医療
米国のプライマリ・ナーシングの実情
松木 光子
1
1大阪大学医療技術短期大学部
pp.624-627
発行日 1981年7月1日
Published Date 1981/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541207521
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プライマリ・ナーシングとは
プライマリ・ナーシングについては,1970年のナーシング・フォラムに出たMantheyらの論文1)が最初であるが,我が国の看護婦の多くがこの看護方式を耳にしたのは,恐らく1977年のICN (国際看護婦協会)東京大会であったであろう.そこでは,これがプライマリ・ケアとともに北アメリカの新しい看護の動向として紹介されていた.しかし,第一次医療としてのプライマリ・ケアまたはプライマリヘルス・ケアと,プライマリ・ナーシングを混同している場合もあるので,まず最初にどういうものかを明らかにしておきたい.
プライマリ(primary)という言葉には,"第一次の","本来の","主要な","直接の"などの意味があるが,いずれもぴったりする日本語ではないので,あえて訳語をあてはめることもなかろう.それでは,一体,プライマリ・ナーシングとは何かということで一番ぴったりする表現を挙げれば,それは"私の看護婦,私の患者に帰ること"である.この表現は,Mantheyらの論文の副題に使用されているもので,看護本来の1対1関係に帰ることを意味している.この1対1関係は特にプライマリ・ナーシングに限るものではなく,古来からの分担方式である受持ち法(case method)にも見られている.
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