特集 救急医療その院内体制・2
救急患者の統計の取り方
内藤 裕史
1
1筑波大学臨床医学系,麻酔学
pp.849-852
発行日 1980年10月1日
Published Date 1980/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541207263
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救急患者の正確な統計は,救急医療態勢や,医療機関整備のための具体的資料として,必要欠くべからざるものである.しかるに,救急統計もまた,福祉や医療関係の他の統計と同じく,その整備は著しく遅れている.例えば,最近は救急患者の中に占める急病患者の割合が増えている,などという報告にしても,ガス中毒,食中毒,二日酔い,日射病,乗物酔い,窒息,薬物アレルギーなどを,それぞれ急病に含めているか否かは,消防庁,警察庁,厚生省,医師会,学会を含め,報告書によって百人百様と言っても過言ではない.
そこで,救急患者の統計の取り方について,傷病の種類,傷病の原因,重症度の三つに分けて解説する.これらについては,昭和51年以来,日本救急医学会の中の救急統計基準作成小委員会において,検討が行われてきており,傷病の種類及び傷病の原因についての統計の取り方は,既に一部発表されている1).重症度については,目下委員会において鋭意検討が行われている.いずれの場合も,その共通基準作成に当たって基本とした考え方は,①現場で,だれでもが使えるよう,簡単であること,②簡単であると同時に,詳細な分析にもたえうること,③国際疾病分類の第9回改訂に基づいて改訂され,昭和54年から発効した我が国の傷病分類にも対応し,したがって国際比較も可能なものであること,④従来,消防庁や警察庁で行ってきた救急統計とも,大きな変更なく,継続性がもてるものであること,などである.
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