病院建築・94 鳥取県立中央病院
鳥取県立中央病院の建築について/鳥取県立中央病院の設計について—その意図と内容
牧野 禮一郎
1
,
西野 範夫
2
1鳥取県立中央病院
2西野設計事務所
pp.65-72
発行日 1977年4月1日
Published Date 1977/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206212
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いま,鳥取県立中央病院建築について書くことは気が重い.私は昭和25年以来,法隆寺,唐招提寺,薬師寺を何回となく歩いた.そして薬師寺の薬師如来にひかれ,病院移転更新築に際し,ひとり薬師如来を拝み,写経のあとに大願成就を願った.大願成就はとてものことで,何がしかのことができたらと思っているが,とてもとても遠いこと.これが気の重い一番の原因である.それに何を書いても客観的に書くことはできない.日付とともに,構想,議論を書き込んだ設計図が,新病院移転に際して行方不明になった.大仰に言うと,私の歴史の一部が消えたのである.
設計をされるかたは,理路整然,物事を明確に割り切らねばすまぬようにおみうけする.甲もあれば乙もあるではすまぬのである.甲も乙も,その上,丙も丁もということで,四方が開くエレベーターを作ることになったら,とてものことではないことはよくわかる.割り切り説に従わざるを得なくなり,小生は閉口頓着仕候ということばかりだった.
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