特集 病院に残る古きもの
病院に残る古きもの・4
まかない的給食
阿久津 慎
1
1名鉄病院
pp.36-37
発行日 1970年12月1日
Published Date 1970/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541204179
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まかない的ということばに抵抗を感ずる人があるかと思う.まかないということばは,だいぶ昔から使われている.宇津保物語(984年)楼上,下の巻に‘師の君日暮るるめり,御まかないせられよ’と出ているもの,源氏物語(1005-14年)夕顔の帖に‘取りつぐ御まかないうちあはず’と出ている‘まかない’は,今日われわれが理解しているまかないとは,少し違ったものであるが,江戸幕府のころのまかない方は,ほぼ今日のまかないに近い意味で使われているようである.
いずれにしても,まかない的ということは,古いということであり,近代化されない時代おくれということに解釈して,年の瀬にスス払いをして,こんなものが,こんなところにあったと気づいて,もうじゃまだから,明治村へでも持って行こうかというようなものが,炊事のどこかに残っていたら,探し出してみようということにしたのである.
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