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病院事務長の権限と職務について—病院事務長に関する調査研究(Ⅱ)
前田 信雄
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1東北大学医学部病院管理学教室
pp.207-217
発行日 1961年3月1日
Published Date 1961/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541201777
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1゜事務長の分掌規定は,院長補佐,事務部の統括,業務の連絡調整などであつて,いずれの病院にあつてもほぼ同様の内容であつた。
2゜その専断権限範囲となると,施設ごとに若干のちがいがでてくる。慣例あるいは院長,開設者との関係がどうなつているかによつて影響されている。
3゜院長からの権限委任は,物的管理についてはその程度が大きいのに対し,医師,看護婦の人事については,少ないことが知られた。
4゜他職種,他部門との関係で,最も多くのトラブルが生じる事項は,医長とでは設備機械購入,組合とでは給与・手当,総婦長や院長とで人事問題などであつた。
5゜事務長が議長となる事務会議は,全体の20%以下の病院でしか開かれていない。また,管理全般にかんする会議は非常に多種類であるが,事務長は議事の書記的立場にあるばあいが多い。
6゜日常業務で事務長が最も苦労する事項は,診療収入関係及び人事関係であり,最も時間を費やすのは総務的仕事である。未収金問題,医師や定員不足,資金調達などが困難に感じる事項であることが知られた。
7゜事務長は,その職務遂行上,責任感,経験が最も必要である,という意見が多かつた。
8゜事務長が成功した企画は,主に施設的な面であり,人事,経営管理の面では,やはり大きな困難にぶつつかている病院が多いことが知られた。
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