事務長某月某日
オープン病院の事務長
高橋 元吉
1
1浜松市医師会中央病院
pp.45
発行日 1966年2月1日
Published Date 1966/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541202785
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本市は,東京と大阪のほぼ中央に位置し,静岡県西部地域の産業文化の中心地として,人口40万を数え,全国地方都市の中でも近時の発展ぶりは顕著なところである。このような各分野における発展に比較し,医療態勢は必ずしも充実している地域とはいえない。かかる地域規模と現状の中での医師団は,過去10年来医学を中心に集談会,研究会などを続けつつその結論として,わが国国民医療体形のあり方と,医療の社会性施策を具現しその理想を求める手段として,医の理念の誠実な実行と,住民の健康管理者たる医師の責務を果たし得る制度とを,自主的に医師団の経済力と技能を結集して「オープン方式病院」を構想し,設立を見て3年余を迎えた。
しかしこの形体は「閉鎖型病院」をもって発達した現医療形体の中で主に初歩揺籃期を辿っており,したがって諸種の問題点を各面にわたり容している。また従来は一病院の医師を中心に勇将を集め高度な施設機能をする築城をなし,疾病と予防戦略の研究をおこなって来たわけであるが,現時点における「オープン方式病院」は,その堅固な名城に比し,勇将を育成し住民とのつながりを擁しつつ,自からの必要性のため1つの砦を築いている感がある。
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