特集 問われる事務(部・局)長の経営能力
病院事務長に何を期待するか
事務長は病院の羅針盤
鎌田 實
1
1組合立諏訪中央病院
pp.1086-1088
発行日 1997年12月1日
Published Date 1997/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541902274
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多頭的事務管理
1970年代,諏訪中央病院は赤字が続き,1977年累積赤字額は4億円を越えた.お金の価値も今とは違い,当時100床程度の小病院にとって,大問題になった.市議会でも病院の身売り話が論議された.その後,病院の再建計画は軌道に乗り,累積赤字を解消した.1986年,新病院を作ると,その後,2年間1億8千万,8千万と赤字が出たところで院長のバトンタッチが行われた.ホスピタル・マネジメントなど,全く勉強したことのない,30代の若手が後任に指名された.院長は臨床現場で,先頭に立って患者を大切にする仕事ぶりを職員にみせていくことを第一の目標にした.その結果,必然的にホスピタル・マネジメントは事務部長の両肩に重くのしかかった.
病院生え抜きの事務部長は豪腕であった.職員にも市役所にも時には医局にも,ビーンボールまがいの豪速球を投げこんだ.働く集団に病院全体が変化していった.若い院長が判断に迷うとき,外圧に押し切られそうなとき,強烈な個性で院長を支えた.その事務部長も停年退職になり,新しい事務部長に変わった.病院生え抜きの事務部長から,市役所からの派遣の事務部長である.市役所とのパイプは太くなった.もともと市の保健予防課長などの職についていたので,人格も病院,市役所のお互いが熟知していた.
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