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あとがき
吉田
pp.856
発行日 1959年10月1日
Published Date 1959/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541201582
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- 文献概要
今年は引続き米の大豊作で,全国農民の生活は一応安定し,この農村の安定が,農村病院を多忙にしていることであると想像します。是非こういう際に,病院の衛生教育を働かせ,農民に正しい健康処理の知識を普及したいものです。
偖,10月号は診療管理の特集号としてお手元にお送りします。巻頭には,橋本会長の「医療の社会化」に関するお考えを発表して頂きました。医療の社会化ということばがよく使われますが,いろいろの意味に使われるので,とかく誤解が生じます。しかし,この際指摘された問題については,同一の焦点ではないかと想像されます。すなわち,患者の経済的負担能力と施されるべき医療の内容との関係はいかにあるべきかという課題です。このことは,社会保険給付のあり方の根本的観念を規制するものでありますので,大いに論議が盡され,医療を受けるもの,医療を担当するものの間に,充分な理解と了解が成立つた上にはじめてこの制度の正しい運営ができるものと信じます。従来の社会保険は国民の一部を対策としたものから出発したものであるが,これが全国民を対策とするということになると,改めてこの問題は根本的に明確に解決して置く必要がある問題です。続いて日病参与の小野田氏に,日病の診療管理部会の1年の歩みについて御執筆を願いました。診療管理については,日本の病院管理が立遅れていました。しかし幸いこの1年間にこの方面の動きが活溌になつて来ました。
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