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Closed Systemと医師の勤務体制(1)—病院人事管理のうち
石原 信吾
1
1病院管理研修所
pp.11-13
発行日 1955年9月1日
Published Date 1955/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541200997
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医師という職業は,固有の意味でのprofes-sionとして,本来自由であるべきものとされる。アメリカ医師会の倫理規定で,医師は第三者との雇傭関係に入つてはならぬとされているのはその為であろう。ところが,我が国では病院はすべてclosed systemであるから,其処に勤務する医師は,当然雇傭関係に立つものであり,これに診療所勤務の医師を加えれば,我が国の医師の大半は,何等かの形の雇傭関係の下にその業務を行つているということが出来る。若し,医師の業務が徹頭徹尾自由であるべきものとすれば,こうした我が国の医療体制は,当然医療の本質上好ましくないものと言わねばならぬ。だが,closedsystemが我々の現在直面している現実である以上,問題は,ただそれが好ましくないというだけでは済まされない。就中,closed systemに於ける医師の在り方及びその勤務体制の問題は,このsystemの中核をなす最も根本的な問題として,充分な検討が加えられなければならない。そこで本稿では,先ず,closed systemに於ける医師の存在の特質を特に医業の自由性との関連に於て考え,更に進んで,その特質に即した勤務体制の在り方について検討を行つて見たいと思う。
医療は,これを最も単純化して考えれば,医療を施す者と医療を受ける者との間に行われる治療を目的とする医学的実践であると言える。
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