特集 第19回日本病院学会臨時増刊号
シンポジウムの部
看護婦の労働時間と勤務体制
金子 光
1
,
岩田 ワタ
2
,
渡辺 千代子
3
,
西山 久美子
4
,
石原 信吾
5
1東京大学・保健学科
2関東逓信病院
3広島市原爆傷害調査委員会(ABCC)
4長崎大学付属病院高田内科
5虎の門病院事務部
pp.88-95
発行日 1969年9月25日
Published Date 1969/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541203754
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司会報告
看護婦の労働時間のきびしさは,看護婦不足との悪循環の上でますます深刻になってきている,それは看護職員の急激な増加またはばく大な資金投資なくして,この問題を明快に解決することは困難であるといえよう.しかし,そのいずれもが早急に,しかも満足する形で病院当局に与えられないものとすれば,なんらかの手段や工夫を生かして,現在の状態を少しでもよい方向にすすめ,働く者も管理者も歩みよって,よりよい線を出すことへの努力が必要であろうかと思う.病院の使命は,患者へのよりサービスであるからである.
1日8-9時間まで,週44-54時間までを就業時間として特別に考慮されている労働基準法の‘ワク’が問題になるが,働く時間の総時間をとらえ,弾力性にとんだ形の勤務体制を,いわゆる正規の3交代制のみでなく考えられてきているところがある.欧米では早くから,看護婦の労働時間は週で決められていて,週40時間,42時間,44時間などであって,毎日の就労時間は必ずしも一様でない.病棟の動きによって長短をつけ,1日10時間や12時間の日があれば,また6時間や4時間の日もあるという具合で,週内の時間を守る方向の体制が組まれているところがある.いずれにしても働く時間とよいサービスとの関係の基礎は,人員配置の問題で,適正な人員配置が肝要である.このシンポジウムでは,その配置される人員の働きのしくみについて異なった立場から論することを目的として行なったものである.
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