特集 これからの医療安全を考える
巻頭言
井伊 雅子
1
1一橋大学国際・公共政策大学院
pp.837
発行日 2014年11月1日
Published Date 2014/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541200026
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2014年6月に医療法の一部が改正され,第三者機関の設置を含む新たな医療事故調査制度が2015年10月から施行されることになった.そこで今回の特集では,改めて病院管理者が医療安全に取り組む意義について考えてみた.患者安全を通して,外部調査や訴訟への対応による人的経済的損失から病院経営を守り,ひいては病院のブランドイメージを高めることに他ならず,今後は院内に留まらず,地域医療の安全を確保する中核としての機能も期待されるだろう.
種田氏にはこれまでWHOで取り組まれてきた医療安全に関する概要をご解説いただき,国際的な動向と今後の展望についてご紹介いただいた.長尾氏には懲罰的ではなく安全文化構築の一翼を担うインシデントレポートの収集・活用を中心に,最新の取り組みに関してご執筆いただいた.新制度が有効に機能し,社会から信頼を得るには,医師集団を筆頭に,医療現場に豊かな報告土壌が存在していることが前提であると指摘されている.
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