特集 新たな専門医制度と病院
巻頭言
井伊 雅子
1
1一橋大学 国際・公共政策大学院
pp.929
発行日 2013年12月1日
Published Date 2013/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541102670
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平成25(2013)年3月に「専門医の在り方に関する検討会」が終了し,最終報告書もまとまった.日本でも後期研修が必修化される時代がやってくる.専門医制度が生まれることを受けて,その新制度が実際にどのような成果を生み出していくかは,これからの日本の医療の質を決定づける重要な課題である.本特集では,新しくスタートする専門医制度のもとで,病院が後期研修医や看護師の養成に果たす役割を考察した.
日本の専門医認定の特徴は,それぞれの学会が制度設計を行い専門医の認定を行うなど,統一基準がない点である.標準化された専門医研修(後期研修)が定められていないのである.専門医研修の内容と認定の基準は一般には公開されておらず,患者の立場からすると専門医療の質を担保しているとは言えない.また,専門医,認定医,標榜医などの名称が使われているが,患者にはわかりにくい.医療は極めて専門性の高いプロフェッショナルな世界だが,公正に評価して国民に伝える手段は現在まで確立していなかったのである.
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