特集 ITの活用とこれからの医療
巻頭言
井伊 雅子
1
1一橋大学国際・公共政策大学院
pp.425
発行日 2014年6月1日
Published Date 2014/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541102791
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ITと医療の融合を目指す「医療のIT化」が進みつつある.これまでは,一部の比較的規模の大きい医療機関が,その内部をIT化させるというケースは多かった.そして近年,地域内で異なる医療機関同士がネットワークで結びついて,電子カルテなど診療情報を公開し合うという事例も少しずつだが出てきている.今後ますますニーズの高まる地域包括ケアを進めるためには,医療機関の連携のみならず,介護や福祉との連携も重要になる.医療,介護の連携に資する共通基盤としてITがどのように活用できるか,現在どのような議論がなされているのか,現状と今後の課題は何であろうか.
2013(平成25)年5月31日には,社会保障・税番号制度(以下,番号制度)関連四法が公布され,2016年からの番号制度の導入が決まった.当初は,社会保障・税の法定事務において限定的に利用することが想定されている.番号制度は,社会保障分野(特に財政面)では具体的にどのように活用され,どのような利便性が向上するのか,また問題点は何か.法施行後3年で見直しがなされることになっているが,少なくとも番号を活用すれば,地方公共団体の事務負担は相当軽減でき,行政サービスの質も改善されると考えられる.
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