連載 医療マネジメント 21世紀への挑戦・5
ガバナンス,オーナーシップ再考―医療福祉システムの「仕組みと仕掛け」を「老人仕様」に
長谷川 敏彦
1
1日本医科大学 医療管理学教室
pp.620-623
発行日 2011年8月1日
Published Date 2011/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541102071
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21世紀の医療マネジメントの究極の挑戦は,日本の医療システムを「老人仕様に変える」ことである.これまで,日本が突入する超高齢社会はいかなる世界で,いかなるケアが必要か,需要の仕様を中心に分析してきた.ケアの目的・特徴がこれまでと大きく変わり,その継続が必須であり,その連携を担保するために供給システムの構造的大転換が求められていることを前回述べた.今回は供給体制全体の現状を分析し,供給の仕様について考察したい.
実は国際的に見て,日本の医療供給体制は福祉と合わせて極めて特異であり,求められる構造的大転換の展望は特異性を踏まえねばならない.その特異性は供給機関の所有(オーナーシップ)にあり,したがって同時に統治(ガバナンス)のあり方にも影響を及ぼしている.医療界も日本の歴史と文化を背負っており,国際的に見て他産業と共通する特徴を持つとともに,国内的に見ても医療界独自の相違がある.そこでまず,日本の医療供給体制の所有形態について,その機能も合わせ現状を分析し,次いで国際比較を試みることにより,歴史文化的に解析したい.
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