特集 個人情報保護法と病院
巻頭言
大道 久
pp.269
発行日 2005年4月1日
Published Date 2005/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541102035
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個人情報保護法が成立し,本年(2005 年)4 月から全面施行されることになった.病院も個人情報取扱事業者として,今後は患者の個人情報の取扱いに適正に対応してゆかなければならない.金融・信用と並んで最も慎重に対応されるべき医療における個人情報を取扱う病院としては,この法律の趣旨と具体的な運用の方法・手順を十分に周知・徹底しておく必要がある.そもそも個人情報保護法の立法の趣旨は何なのか,個人情報の保護とその開示・訂正・利用停止,あるいは情報公開との関係など,今後の個人情報への対応の基本的な考え方を理解しておきたい.
既に,「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」が示されているが,個人情報の利用目的の明確化や安全管理措置など,その概要と具体的な対応の手順を十分に知っておく必要がある.特に,保有個人データの開示・訂正・利用停止や苦情相談については,院内のしっかりとした体制が求められる.また,個人情報の漏えいや減失には従来以上に十分な配慮が必要であり,職員のIDやパスワードの運用など,今後の病院情報システムのあり方について,改めて検討しておかなければならない.業務委託についても,レセプト作成や臨床検査の外注に伴う個人情報の保護に配慮するとともに,派遣職員に対しても十分に留意しておく必要がある.
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