特集 変革を迫られる大学病院
巻頭言
大道 久
pp.725
発行日 2003年9月1日
Published Date 2003/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541102018
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大学病院を取り巻く環境が急激に変化している.来年に迫った新医師臨床研修制度の運用に向けて多くの臨床研修病院群が出現し,医師の初期研修の場が大学病院から地域にシフトしようとしている.これまで初期臨床研修の75%を引き受けてきた大学病院は,医局講座体制そのものの運営に大きく影響することを見越して対応に追われている.少なからぬ医局は関連病院の見直しを図り,派遣先の病院から医局員を引き戻したりする事例が続いて,医療の現場も大きな影響を受けている.
一方,特定機能病院で開始されたDPC(diagnosis procedure combination)による定額支払方式が,大学病院の財政基盤や診療のビヘイビアに及ぼす影響も計り知れぬものがある.この方式は,医療機関別に日額定額の支払額が設定される特異な支払方式で運用が開始されたが,診断群ごとの係数や在院期間などの情報が明らかになるにつれ,支払上の新たな条件や統制も見込まれている.大学病院にとって,前年度からの収入増を図ることが困難な支払方式であることから,各診断群の原価を算定して支払額とすることを求める動きもあるといわれる.一般の病院にとっても,急性期医療の支払方式の行方を占ううえでも,今後の成り行きが注目される.
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