特集 病院管理からみた患者安全
巻頭言
大道 久
pp.445
発行日 2003年6月1日
Published Date 2003/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541102015
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繰り返される医療事故報道は医療への信頼を揺るがせており,病院管理者にとって患者安全の確保は最も差し迫った課題である.医療の質の向上と患者安全の確保は表裏の関係にあり,医療事故防止の体制を整備して病院組織における安全文化の確立を図ることは,医療の質保証の基本的な前提となっているといえる.本特集では,医療の質と医療事故をめぐる諸問題を米国を中心とした諸外国の動向も踏まえてとらえ直し,医療事故の原因分析と有効な防止策の方法などについて改めて検討しておきたい.
患者安全の確保については行政にとっても重要課題となっており,「医療安全支援センター」の設置など,最近の施策の概要と今後の方向について把握しておく必要がある.国民・患者側からの医療に関する相談の受け入れ,医療機関側からの情報提供も求められているが,その中で医療事故や医事紛争が主要な検討対象となっているからである.また,医療の現場の安全管理責任者であるリスクマネジャーは一定の定着をみているが,その業務内容と権限の範囲などは病院によって多様であるように見受けられる.患者安全の実をあげるうえで,リスクマネジャーのあり方を考えておきたい.
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