特集 病院管理会計とBSCの効用
巻頭言
大道 久
1
1日本大学医学部医療管理学
pp.93
発行日 2010年2月1日
Published Date 2010/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101626
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病院の経営環境が厳しくなる一方,患者・家族からは安心・安全な医療を強く求められており,それに対応できる合理的な経営管理手法が求められて久しい.管理会計は,貸借対照表や損益計算書などのよく使われる財務会計とは別に,組織管理や意思決定のために利用される会計であるとされる.医療分野においては,かねてから原価計算や指標の設定による比較検討などが行われてきたが,その発想は概ねそれに相当すると言える.近年,DPCの導入とその拡大などの流れの中で,改めて病院管理会計のあり方とその活用が大いに注目されるようになった.また,目標管理手法の側面を持つBSCも,その効用が認識されつつある.本号では,この病院管理会計とBSCの有効性と成果について取り上げる.
まず,医療における管理会計と期待される役割について,総説的な解説を受けたうえで,わが国における診療科単位の部門別収支を,標準的な原価計算方式を用いて病院間比較を行った調査の概要を紹介していただく.これは診療科別管理会計と言うべきもので,その算定方式と調査結果は今後の病院経営に有効であろう.一方,採用する病院が増加しつつあるBSCについて,その基本的な方法と手順の紹介を受けた後,この管理手法を利用している諸外国の現況とともに,これまでのわが国の病院における全体的な取り組み状況と,今後の課題について総括していただく.また,精力的にBSCを導入して成果を得ている病院の経験から,病院組織がどのように変わったか,財務の視点から,その有効性や問題点について報告してもらうこととしている.
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