特集 病院におけるIT化の新局面
巻頭言
大道 久
1
1日本大学医学部医療管理学部門
pp.993
発行日 2007年12月1日
Published Date 2007/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101071
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高度情報通信社会の実現は今や国策であり,2001年にIT戦略本部が内閣に設置され,「e-Japan戦略」とその「重点計画」を決定した.以後毎年,年次を付した「重点計画」が決定され,本年も「重点計画―2007」が策定されている.同計画は,「2010年までにいつでも,どこでも,誰でもITの恩恵を実感できる社会の実現」を謳い,社会経済全般にわたって「IT新改革戦略政策パッケージ」を打ち出した.医療については「ITによる医療の構造改革」として,レセプトオンライン化に着手するとともに,2008年診療報酬改定に向けた電子点数表の公表や,支払基金の審査支援を盛り込んでいる.健康情報ネットワークのセキュリティや「医療・健康・介護・福祉分野の情報化グランドデザイン」の推進も求めている.今後,病院のIT化を進めるに当たって,これらの施策の方向は十分に踏まえておく必要があろう.
病院のIT化は,まずは省力化・業務支援機能があって,そのうえで病院事業の様々な側面を情報化し,評価・分析することで経営判断や問題の解決を行うことが基本的な目的である.厳しい環境下で医師・看護師を確保し,患者の選択を得るためには,自らの病院の機能をこのような情報分析によって可視化し,効果的に広報することが重要な戦略となる.ウェブサイトの機能を有効に活用し,メールマガジンを発行するなどして積極的に多様な情報を発信する事例も見受けられる.情報提供が強く求められるようになった時代の病院のあり方を探りたい.
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