特集 変革に立ち向かう病院―病床削減と人材難に対処する
巻頭言
大道 久
1
1日本大学医学部医療管理学部門
pp.285
発行日 2007年4月1日
Published Date 2007/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100518
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
医療制度改革関連法が成立し,それぞれ改正法が実施の段階を迎えて病院はかつてない変革を迫られている.介護療養型医療施設の5年後の廃止が確定し,医療療養病床も先の診療報酬改定における療養病棟入院基本料の医療区分に応じた支払方式により,大規模な病床削減または転換を余儀なくされようとしている.また,急性期医療における7対1看護基準の導入は,看護師の集約化による在院日数の短縮と病床利用率の低下の傾向を強めて,結果として病床規模の縮減をもたらすことが見込まれている.
一方,新医師臨床研修制度の運用を契機にして顕在化した医師の地域間・診療領域間の偏在は,病院に深刻な医師確保困難の問題を突きつけた.病院を去る医師の事例が続く中で,患者確保の課題もさることながら,病院機能の基盤となる医師・看護師等の人材確保が最重要課題となっているのが,改革の只中にある現段階の病院の姿であるといえる.
本号においては,一連の制度改革の全体像を俯瞰したうえで,それぞれの政策的意図を改めて検証して今後の改革の進捗を見通すとともに,病院として今後の改革課題にどのように対応すべきかについて考えておきたい.また,医療施設体系の見直しや医師等の需給に関する政策課題がすでに検討されつつあり,病院は今後のさらなる改革の行方を見ておく必要があろう.
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.