特集 医療のパフォーマンス評価
巻頭言
大道 久
1
1日本大学医学部医療管理学部門
pp.525
発行日 2006年7月1日
Published Date 2006/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541102050
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医療評価の枠組みは,ドナベディアンの構造・過程・結果の観点からのアプローチが有効であるとされ,わが国の病院機能評価でも主として構造と過程に関する評価項目で審査が行われている.ところが,最近になって急速にアウトカムやパフォーマンスに関する数値・指標による評価についての関心が高まってきた.それは,医療を受ける立場から医療の質や適切さを示す端的でわかりやすい情報が求められているからであるといえる.そこで,あらためて医療の質を測定することの今日的意義と方法について総説的に取りまとめ,指標による評価で病院医療の質改善につなげることの必要性を確認しておきたい.
一方,急速に進捗しつつある医療制度改革においても,地域連携パスによって個々の傷病の総入院日数を把握し,在宅看取り率等の指標化によって施設医療から在宅医療への移行を強力に推進するなどの政策が採られようとしている.数値目標を設定してその実績評価によって改革を進めようとする背景には,社会保障財政がさらに深刻化することが見込まれているからであるが,医療人は施策の趣旨を十分に理解したうえで,今後の局面に是々非々で臨む必要があろう.
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